一昔前は、終身雇用が当たり前の世の中でしたから、「転職する人」と聞くと、「いい加減な奴だな」とか「仕事を長く続けられない根性なし」という目で見られていました。
しかし、終身雇用神話が崩れた現在は、転職はむしろ「キャリアアップ」「自分で働く先を決める」といった、積極的でよいイメージが持たれるようになりました。
転職することへのハードルが下がったことで、転職者も増えましたが、同時に「なんとなく転職しよっかな~」と、あいまいな転職動機で求職活動をする人も増えているのをご存知でしょうか。
あなたの転職の動機はいかがでしょうか?
実は、なんとなく…という動機で転職活動をすると、転職後に「転職しなきゃよかった…」と、後悔する危険性があります。
また、現在の職場に不満たらたら、ネガティブな理由で転職活動を始めるあなたも要注意!こちらも転職後に「前の職場のが良かったじゃん…」と後悔する可能性大!
今回は、「なんとなく転職やネガティブ転職が危ない理由」と「後悔しない転職をするために、まずすべきこと」についてご紹介していきます。
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なんとなく転職に要注意
「周りで転職している人が多いから」
「今の職場で4年働いたし、そろそろいいかな…」
「転職を勧められたから」
このような理由から転職活動を行う方もいらっしゃいますよね。
これらの動機に共通しているのは、「特に理由はないけど、何となく転職してみよう。」という、転職の目的が非常にあいまいな点です。
これらの動機は転職活動や仕事に対して、主体性がなく、転職すること自体が目的になってしまっています。
「転職後にどうしたいのか」という明確な目標がないと、求職活動での面接でも、回答があやふやになったり、矛盾が出てきます。
そのあいまいな態度が面接官に伝わって「この人は、なぜ転職をしたいのか??」「なんで転職活動してるの?」と違和感を生むことも。
「なんとなく転職活動をしている人」と受け取られると、「なんとなく辞めちゃいそう」という印象を与えてしまい、不採用になる可能性もあります。
もし、運よく採用されても、新しい仕事に従事した後で、自分自身で「私はなぜこの会社を選んだんだっけ?会社に何を求めてたんだろう?」と迷いや疑問が生まれてしまうこともあります。
その結果、転職したことを後悔して、また「なんとなく転職」を繰り返してしまう危険性が出てくるのです。
転職すること自体が目的ではなく、転職後に何をしたいのかが一番重要なんですよ。
今の会社に不満がいっぱい!ネガティブ転職に要注意
「今の会社お給料が低すぎるんですけど~」
「自分の実力を正当に評価してくれてない!」
「部署の人間関係マジウザい…」
現在の職場に不満たらたら…ネガティブな理由で「転職したい…」と考えていませんか?
実はネガティブな理由での転職もちょっと危険。「今の職場が嫌だから新しい職場に行きたい」という理由だけで転職するのは、現状から逃げることが転職の目的になっている場合があります。
逃げの目的で転職をしてしまうと、次の職場でまた別の不満が出たら、再び「逃げた~い!」と思って、転職を繰り返してしまうだけ。
どのような会社にも、必ず長所短所はあります。
もともと、会社の不満ばかり漏らす人は、会社の長所を全く見ずに、短所しか見ていない場合もあります。短所しか見なかったら、どんなに職場を変えても、不満は出てきてしまいますよね。
また、もし人間関係のトラブルがあった場合でも、自分のコミュニケーションスキルが変わらないまま転職しても、新しい職場で同じ目にあう可能性もあります。
変えるべきは職場ではなく、自分の視点かもしれない…と一度立ち止まって、考えてみるのもいいかもしれません。
転職が失敗する危険性がある「なんとなく転職とネガティブ転職」についてご紹介しましたが、そもそも転職活動を行う前に、「転職のリスクをよく考える」必要があります。
転職は甘くない?!実はとってもリスキーだった!
転職のイメージは、冒頭でもお伝えした通り、「キャリアアップ」や「年収アップ」、「新しいスタート」という良いイメージを抱きやすいです。
新しい職場に夢を描くのはいいのですが、同時にリスクもあることを知っておかなければいけません。
転職するということは、職場環境、仕事内容、人間関係、待遇など、全てが変わります。
新しいスタートは確かにワクワクするものですが、同時に大きなストレスを抱えることになります。
もちろん、仕事に慣れたり、上司や先輩との人間関係が円滑に進めば、そのストレスも一気に無くなっていきますが、全てが円満に行くという保障はありません。
つまり今の環境よりも、待遇面にしろ、仕事内容にしろ、状況が悪くなるリスクもあるんですね。
「今の会社への不満が、転職で全て解決するわけではない」
…ということをしっかり覚えておきましょう。
リスクを全く考えないまま、現状に不満があって「職場を変えれば何とかなるかもしれない!」と思ったり、なんとなく「新しい仕事のほうが、やりがいが見つけられそう」とフワフワとした考えで転職するのは危険です。
もちろん、新しい職場で得るものもあると思いますが、前の職場にあったもの(長所)が無くなることもあります。
「給料面は確かに前の職場よりいいけど、鬼残業で辛い…」
「新しい職場では評価されると思ったのに、キャリアダウンした~~!!」
「こんなはずじゃなかったのに…」
こんな目に合わないように、次で「後悔しない転職をするために、まずすべきこと」についてご説明させていただきますね。
後悔しない転職をするために…活動前にすべきこと
転職したい理由やデメリットの洗い出し
まず初めに「そもそも、なぜ自分は転職をしたいのか」についてしっかり考え、以下の項目を洗い出していきます。
・現状の不満
・将来への不安
・転職したい直接の理由
・将来どうなりたいのか(志望動機やキャリアアッププラン)
・仕事をする上で、絶対に譲れない条件や希望(給料アップや人間関係の清算)
そして、現在の職場の長所と短所も書き出します。
例えば、
長所⇒「お給料は満足」「仕事は楽しい」
短所⇒「休みが取りにくい」「人間関係がギスギスしてる」
など。
書き出した後、全てを見直してみて、「自分は本当に転職したいのか」について、改めて考えます。
もし、会社の長所が短所を上回っているなら、おおむね現在の職場に満足しているので、転職する必要はないかもしれません。
でも、自分の譲れない条件がクリアできていない、将来に不安がある…というときは、現状を改善していく必要がある…ということです。
自分の不満や改善すべき点が見つかったら、実際に行動を起こしてみます。
不満点を改善する努力をする
①で書きだした不満や会社の短所などを、まずは現在の職場で改善・解決できないか最大限の努力をしてみましょう。
・給料や待遇面に不満なら、上司に相談してみる
・人間関係のトラブルや仕事への不満があるなら、部署異動ができないか、人事部に掛け合ってみる
・信頼できる先輩に相談してみる
もし、「今の仕事に、どうしてもやりがいが感じられない…」という場合も、どうしてやりがいを感じられないのか、自分の仕事への取り組み方が間違っていないのかなど、自分に対してもしっかり向き合っていきましょう。
この現状の改善や解決への行動をしないまま、転職活動を行いますと、現状から逃げ出したいだけの転職になってしまいます。
でも、現在の職場で問題解決ができるなら、転職活動をしなくて済む上、あなたも問題解決するスキルが身につきます。
すぐに転職を考えるのではなく、まずは現状を変えられないかの努力をする…これが大切なポイントです。
改善や解決が難しいときに初めて転職を考える
そして、もし最大限の努力したのに、現状の問題解決が難しい…となった時に初めて転職を考えます。
努力を十分にした後なら、「自分は最大限の努力をしたんだ」と前向きに転職活動をすることができますし、「自分はこの条件は譲れないんだな」という自分の仕事に対する希望などもはっきりします。
その絶対に譲れないような条件をもとに、転職先を選んでいくことができるんですね。そうすると妥協することがないので、結果として達成感や満足感が得られる転職ができるのです。
また、採用面接でも「前職で改善できるよう、最大限の努力をした」ということを、伝えることもできます。
何の努力もせずに転職活動を行えば、面接官にも「問題があっても逃げる人」という印象が残ってしまいますが、努力した人であれば「問題を解決するために努力する人」という印象を与えます。
どちらが転職活動においてもプラスになるかは…分かりますよね。
まとめ
なんとなく転職しよう
今の会社が嫌だから転職しよう
これらの動機から転職するのは、ちょっとリスキーであることはお分かりいただけたでしょうか。
転職は確かに、新たなスタートというポジティブなイメージがありますが、リスクもきちんと把握しておくことが大切です。
転職活動をするということは、今自分はなぜ転職したいと思っているのか、不満な点は改善できないのか、自分が本当にしたい仕事は何か…などを、改めて考え直す良い機会です。
リストラされたとか、人間関係がもとで精神病になりそうとか、そういった急務がない場合は、まずは自分の中にある転職への動機や仕事への取り組み方、現在の会社への長所や短所など、しっかり棚卸をしてみてください。
それがきっと、満足する職場に勤めたり、やりがいのある仕事をすることへもつながりますから。
以上、「なんとなく転職とネガティブ転職は危ない!後悔しない転職をするために必要なこと」でした。