もしあなたが現在、転職を考えているなら、そもそもの動機はなんでしょうか。
会社の将来性でしょうか。
年収アップでしょうか。
あるいは仕事のやりがいでしょうか。
ちなみに他の転職活動者の動機は、以下のとおりです。

出典 みんなが転職する理由は?転職理由ランキング|転職ならDODA
「ほかにやりたい仕事がある」というのは積極的な理由ですが、多くの人は待遇面の向上を求めて転職を考えるのではないでしょうか。
なんといっても大切なのは収入面です。おもいきって転職を決断しても、もしかしたら年収が下がるということもあるので、なかなか行動に移せない人も多いでしょう。
企業視点から考えみたらわかりやすいと思いますが、中途採用というのは先行投資です。即戦力になる人材が切望されているといえ、採用後に「使えない人間」であることが発覚すると解雇というケースも考えられます。
それでも、勇気をだして転職に踏み切った人が、あとから振り返ると「正しい選択だった」ということが多いのです。
この記事では、場合によっては「目先の年収が下がっても転職をするべき理由」を考えてみたいと思います。
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仕事を替えて年収や肩書が上がる方がむしろ珍しい
ここであなたに残酷な事実をお伝えしておかなければなりません。
欧米において転職といえば、年収アップやポジションの向上につながるのが一般的です。しかし、日本の場合、必ずしも転職が年収アップを約束するわけではありません。
よくて現状維持くらい、普通は転職後初年度は年収ダウンなんてことはザラにあるということです。ですから、あまり待遇面に拘泥しすぎると実りが少ない転職になってしまうでしょう。
年収にこだわりすぎて失敗してしまうことも
転職エージェントや転職サイトを活用して、今までにないほど高年収を提示されたとしたら、あなたも転職を少し考えるのではないでしょうか。さらに転職支援金まで出してもらえるとしたらどうでしょう。中には速攻で決めてしまうこともいるかもしれませんね。
しかし高待遇というのは、同時にそれにふさわしい成果を必ず求められるということです。目先の年収ばかり見ていると、「自分の資質や能力がどれくらいで値付けされているか」忘れてしまう。
生涯年収で考える
転職後、初年度が大幅に年収が下がっても、これからの働きしだいで、収入は大きく上昇していくかもしれません。
たとえば大手企業からベンチャー企業に転職すれば、年収は大きく下がる可能性が高いですが、順調に業績を伸ばしていけば、将来的には会社のコアとなる人材になることもできます。もちろん生涯年収で考えたら、大きく飛躍することは間違いありません。
とくに可能性のあるベンチャーへの転職はリスクは大きいですが、自分の貢献度しだいでは夢は大きく膨らみますよね。
年収が下がっても自分のコアスキルを活かせそうなら転職する
自分がこれまで取り組んでみた仕事を振り返って、実績の棚卸しをするとともにコアスキル(強み)を整理してみましょう。そうすれば、自分が貢献できる職種や業務内容を把握できます。
転職先を選ぶ際、ブランドやネームバリューにこだわる人が少なくありません。しかし、自分のコアスキルをわからないまま応募しても、採用側になんのアピールもできませんよね。
目先の年収アップ、またはダウンよりも、あなたが「こうあるべき自分」を実現するために転職すべきではないでしょうか。
「転職後の年収」に関する知っておきたい豆知識
転職後年収ダウンの許容範囲ってみんなどう考えているの?
転職後の年収ダウンは仕方ないとしても許容範囲というのはありますよね。あなた以外の人、一般的な転職希望者の減収許容範囲はどうなんでしょうか?少し興味ありませんか?
「en ミドルの転職」というサイトが実施したアンケートで興味深い回答結果が公表されています。
転職にともなう減収の許容範囲は、年代によって違うようですね。
20代の78%の人は減収の許容範囲が「100万円未満」。いっぽう30代以降の61%が減収の許容範囲が「100万円以上」ということです。
ミドル層の多くは、良い意味で現実と折り合いをつけながら、自分の経験スキルをうまく活かせる転職先を求めているわけですね。
もしも転職して年収ダウンしたら税金ってどうなるの?
生涯年収という観点で考えたら、転職直後の年収ダウンはやむを得ません。
ただ気になるのが極端に年収が下がったら税金がどうなるかということ。毎月給与から天引きされる社会保険料は支給額によって変動するため、転職後の給与が下がれば、そにしたがって所得税も下がります。
やっかいなのが市民税です。これは昨年の給与をもとに算出されるので、来年転職したら、今年の給与に基づいた市民税を支払わなければなりません。
では次に、目先ではなく生涯年収と仕事のやりがいにフォーカスして、転職を成功させるための鉄則を紹介します。
生涯年収アップとやりがいを手に入れる転職を実現する5つのポイント
現状から逃避するための転職は失敗しやすい
職場環境や待遇面に不満があって、あなたは転職を考えているかもしれません。あるいは人間関係がうまくいかなかったり、会社自体の業績が芳しくないという理由で転職活動をしていることもあるでしょう。
しかし、現状から逃げ出すような転職は、応募企業視点で考えたら、あまり好印象ではありませんよね。若年層であればまだ大目にみてくれるかもしれませんが、30代、40代では、ネガティブな転職理由は通用しないと考えたほうがいいでしょう。
たとえ、現在の勤め先が業績不振でも、具体的にどんな打開策を講じたか。どんな創意工夫をこらしたか。それが問われるのです。
今いる場所で、成果が出せるまで頑張って、やり切ったと思えたときに転職という選択肢が見えてくるのではないでしょうか。
年収ではなくワクワク感を大切にする
もしある企業から今よりも高い年収が示されても、その業務内容にまったく心を動かされなかったら軽々と転職を考えないほうが無難です。
いっぽう年収がダウンしても、その業務内容にゆえなく心ひかれるものがあるなら、思いきって動いてみてもいいかもしれません。
そのワクワク感が本物かどうか、さらに情報収集して本気でやりたい仕事かどうか慎重に吟味してください。あなたが考えもつかなかった職種があなたにとっての天職かもしれませんから。
経験を買うという意識で転職する
もし転職して年収アップが見込めなくても、そこで新しい経験を買うと考えてみてください。それほど喪失感はないのではないしょうか。
いきなり年収を上げてもらっても、入社後すぐに会社の利益を上げることができるかというと微妙ですよね。
であれば、実際に業務をこなして十分な実績を出してから、年収アップしてもらうほうがあなたにとっても会社にとっても納得できると思いませんか。かえって年収ダウンした状態で、転職したほうが、新しい環境に馴染みやすいともいえるでしょう。
パートナーや家族と納得するまで話す
もしあなたが本気で転職を考えているのに、パートナーや家族に知らせていなかったら、今すぐ話をするべきです。あなたにとって望ましい職場に転職できたとしても、家族に話さなかったばかりに関係に亀裂が生じることもしれません。
とくに配偶者がいるならなおさらです。もし、転職が失敗したら、経済的な打撃をこうむることもあるでしょう。そのとき配偶者や家族はあなたの決断をどう思うかです。
自分の両親やもちろん、配偶者がいるならその両親にも転職する旨を伝えて、将来のビジョンを示すようにしましょう。納得してもらうまで話せば、あなたも自信をもって転職活動ができるはずです。
20代ならあえて年収が下がっても転職してもいいかも……
もしあなたが20代なら、転職によって年収アップするケースはそれほど多くないと考えてください。年収が極端に上がるとしたら、採用企業側があなたに求める成果はかなり高めと考えた方が無難です。
20代という年代のアドバンテージは、なんといってもスキルの厚みをつけることができること。
たとえ年収が下がっても「生涯年収アップ」と「経験値アップ」という目的で転職に踏み切るなら、それは理に適ったことです。企業側も先を見据えて、会社の核となる人材に育てたいと考えています。目先の給与ダウンにがっかりしないでくださいね。
転職を繰り返す「ジョブホッパー」も考え方しだいではそれが強みになるくらいですから。 転職失敗者としてしばしば紹介されるのはジョブホッパーと言われるビジネスパーソンです。しかし実はジョブホッパーが転職失敗者なのではなく、転職失敗者と成功者の間には明確な思考の差があるのです。ジョブホッパーでも企業に求められるような転職成功者になるために必要な対処法をご紹介していきます。
転職を繰り返す「ジョブホッパー」の強みとは?
あえて直感で決めてもいい
転職に際して、先輩や同僚、転職経験のある友人知人から意見を求めることは大切です。また転職エージェントに登録したら、無料で貴重なアドバイスを受けることができます。
しかし、転職において唯一絶対の正解というのは存在しません。
有用なアドバイスを提供してもらっても、それが矛盾するアドバイスなら、あなたは困惑して、最悪の場合、フリーズして行動することに恐怖を感じてしまうこともあるでしょう。そうなるとどんなアドバイスもあなたにとってマイナスに働きます。
ビビッときた企業があり、あなたが本気でその企業にコミットしたければ、あえて直感を信じてみるという選択はあながち間違ったことではありません。
たとえ大幅に年収が下がっても転職したことで幸せになれる人も
年収ダウンが嫌でなかなか転職に踏み切れない人も多いでしょう。しかし、今の職場で希望を持てず、ストレスを抱えこんだまま仕事を続けるのはいかがなものでしょう。
仕事を変えたことで年収が下がったにもかかわらず、それでも幸せな人はたくさんおられます。
なんといってもプライベートの充実があげられるでしょう。大切な家族と過ごす時間や趣味に興じる時間が増えるのは大きな喜びです。
またWワークに対する関心も集まっていて、積極的に副業を推進する企業も増えています。もし副業やWワークを考えていなくても、ちょっとしたやりくりや固定費の見直しによって、毎月の支出も減らすこともできるでしょう。
「年収下がったらどうしようぅぅ……」と考え込んでしまうことなく、楽観的に考える態度も必要かもしれませんね。
まとめ
目先の年収だけで転職したところでろくなことはありません。「でもやっぱり年収が上がったほうがモチベーションが高まる」という意見もあるでしょう。それもひとつの見識だと思います。
ただ少し長い目で年収というものを考え直したら、さらに選択肢も増えるということはたしかです。人生100年時代、長期間労働の社会のなかでたくましく生きていくためには、年収も大切ですが、仕事に対する考え方も変えていくことは必須だと思います。
生涯という長いスパンで考えて緻密にキャリアプランを描いていけば、転職が最終目的なのではなく、ひとつの通過地点という見方もできるでしょう。
「年収アップか?ダウンか?」みたいな考え方のひとつ上の視点から、自分の職業人生を考えることで、結果的に転職成功に繋がるビジョンが見えてくるのではないでしょうか。
大切なのは、あなたが「こうあるべき自分」になるための経験を重ねることです。たとえ仕事を替えて年収ダウンしても、プライスレスな経験という報酬を受取ることができるなら、その転職は正解ということもできます。
ある実業家の言葉です。
ビジネスの世界は報酬はすべて2種類の通貨で支払われる。2種類とは「現金」と「経験」だ。報酬はまず「経験」で受け取ること。「現金」はあとでついてくる。
―― ハロルド・ジェニーン(アメリカの実業家)
経験を通して得られたものは、お金には替えられない無形資産であり、人間の成熟を促してくれるものです。
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以上、「【転職の新常識】目先の年収がダウンしても転職に踏み切る人は正しい」でした。