転職エンジニアに求められるのは即戦力と言われていますよね。そのためか
「早めに成果を出さないと。」
「職場の改善点を洗い出すぞ!」
と、躍起になる方も少なくありません。
しかしそのやる気が人間関係のいらない軋轢を生んでしまうこともあります…!
今回はITエンジニアが転職して入社した後、どのように行動すべきか、なじみ方のコツを交えてご紹介していきます。
SE・PGの方々は、自分の技術に自信を持っている方が多いので、一度へそを曲げると大事になることも…あなたが入社したことでチームワークが乱れた、なんて事態にならないためにも、今回の内容は必読ですよ。
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転職者が入社後に苦労すること
まずはTech総研が転職者100名に対して行った「入社後、中途ハンデだと感じたことは何ですか?」という質問の回答をご覧ください。
出典 「中途ハンデ」を解消する☆入社後の職場なじみ術/Tech総研
会社の慣習・風土の理解度のギャップが50%と最も多く、次いで職場メンバーとのコミュニケーションが33%です。
慣習・風土とは、簡単に言えば職場の雰囲気や独自のルールのこと。その職場では当たり前のことでも、転職者にとってはわからないことだらけなので、なじむまでに苦労することがわかります。
業務プロセスの違いは24%にとどまっているので、成果を上げることや業務内容で苦労するのではなく、転職者は人間関係や職場に慣れていくことが一番大変と感じているということです。
これはもちろんIT業界にもあてはまることです。業務内容は割とすんなりなじめても、業務の進め方や独自のルールを変えていくことは、なかなか大変なもの。
だからこそ、転職直後は意識して現場になじむ必要性が出てくるのです。しかし、その反対の行動をしてしまうITエンジニアも少なくありません。
次に、ITエンジニアがやってしまいがちな入社後のNG行動をご紹介しますね。
ITエンジニアがやってしまいがち!入社後のNG行動
それではまずは、新しい職場でITエンジニアがやってしまいがちなNG行動をご紹介します。ITエンジニアは技術職であるが故、自分の仕事のやり方と技術に誇りを持っています。しかもキャリアが長ければ長いほどその傾向は顕著に。
しかし、そのプライドを貫こうとすると、転職の際には邪魔になってしまう危険性もあるのです。特に自分のキャリアや技術に自信がある方は、ご注意くださいね。
年下を呼び捨てする
たとえ年齢や実績、技術が上だったとしても、転職者は新参者です。入社後の部署に年下のエンジニアがいたとしても、職場では先輩にあたるので、誰に対しても丁寧語を心がけましょう。
特にマネージャー職として入社すると、「チームの人間はすべて部下。」という目線になります。しかし管理職で転職したとしても、始めは何も知らない状態なので、周りに聞いて業務内容を覚えていかなければいけません。
そんな時に、丁寧語も使わないような上から目線の発言を繰り返すと、「感じの悪いマネージャー」として印象づいてしまいます。チームとして活動するときにまとまりも悪くなってしまいますので、特になじむ前は気を付けてくださいね。
また、実力主義なIT企業の場合、年功序列といった考え方で接すると、嫌われる可能性もありますよ。
実力のアピール
転職者は「なるべく早く成果を残したい。」と焦る傾向にありますが、前職までの実績や成果を得意げに話すのもNGです。
たとえ輝かしい実績があったとしても、聞いているほうは気持ちがいいものではありません。
「自分という人間を知ってもらいたいから…。」と話す人もいますが、入社後しばらくは、職場の人間に自分を知ってもらう期間ではなく、あなたが職場の状況と働いている人たちを知る期間と心得てくださいね。
聞かれたら実績を話す分には問題ないですが、聞かれてもいないのに自慢をしてしまうのは、あなたの印象を悪くしてしまうので、控えておきましょう。
前の会社を引き合いに出す
ごく自然に言ってしまいがちなのは、「前の会社では~」というセリフ。
Tech総研のアンケート結果にもあるように、入社後すぐの時には、どうしても新しい会社の規則やルールになじめず、前の会社とのギャップを感じます。
その時に感じたギャップをそのまま口に出すと、「前の会社では~」という発言になります。しかし、前の会社を引き合いに出されると、内容はどうであれ比較されているような気がして、いい印象を持たれません。
また、「あなたは今はこの会社に勤めているんでしょ!前の会社は関係ない!」と、今の会社になじもうとしていないとみなされることもあるので、前の会社の話も、聞かれない限りはしないようにしましょう。
問題点をいきなり指摘する
転職者は現状の業務内容を改善していくことを期待されている即戦力のため、「業務の問題点を洗い出し、改善していこう!」とやる気満々になりがち。それ自体は決して悪いことではないのですが、入って間も置かずに、「現場の状況」「職場の態勢」「業務内容」などの問題点を指摘するのはNGです。
たとえあなたから見て、ベストな業務環境が整っていなかったとしても、ただ人手が足りないだけとか予算が見合わないとか、現場側も「分かっちゃいるけど、どうにもならない状態」という場合もあるのです。
その問題点を、入社してすぐの転職者にいきなり指摘されると、誰でもカチンときてしまいます。意味のない衝突を生んでしまうので、自分が正しいとばかりに既存の開発チームの業務内容を否定するようなことは控えてくださいね。
まずは既存の開発チームのタスクの進めかたや、開発環境についての傾向性を把握することを第一優先にしましょう。
転職者は職場の人間にとってはライバルになりますので、職場の人間も実は興味津々なのです。しかし逆に言えば、一度悪い印象を持たれると、そのまま悪感情も抱かれやすくなるので、はじめは控えめに、なじむことを第一優先として行動をしてくださいね。
それでは次に、会社になるべく早くなじむためのコツをご紹介します。
入社後はどう過ごす?!なじむためのコツ
入社後になるべく早くなじむためのコツはふたつ。
☑社員とのコミュニケーションを円滑にする
☑社内ルールをなるべく早く把握する
この二つに沿った入社後の過ごし方を、具体的にご説明しますね。
職場の人間の名前をなるべく早く覚える
同じ部署、開発チームのメンバーの名前は、できるだけ初日に覚えます。そしてなるべく名前で呼ぶようにしましょう。
自分の名前をすぐに覚え、そして呼んでくれる人に、人は悪い印象を持ちません。「職場になじもうと努力しているんだな…」とわかりますので、与える印象が良くなりますよ。
ただし、早く親しくなりたいからと、いきなり女性社員を「○○ちゃん」とか、年下の男性社員を「○○君」と呼ぶのはNG。親しくない相手に突然あだ名や「ちゃん君呼び」をされたら、いい気持ちはしません。全て「○○さん」で呼びましょう。
人の目を見て話す
人は目を見て話してもらえた時に、無意識に「自分に意識を向けてくれている。」と感じます。しっかりとコミュニケーションをとってもらえている実感がわくので、相手を無意識に信頼する心理が働くのです。
じっと見るのは失礼だからと、目をそらしたり、うつむいていると、「話を聞いているのかな…。」と思われて逆効果。ただ、凝視されることは日本人は苦手ですので、適度に目線を外しながら話すようにしてくださいね。
笑顔で挨拶をする
前職で上の立場だった転職者がやりがちなのは、「相手が挨拶したら挨拶し返す」という習慣。確かに前職の時にはそれでよかったかもしれませんが、転職先では、もしマネージャー職だったとしても、挨拶されるまでしない…というスタンスを貫くのはやめておきましょう。
たとえ相手が下の立場の人間だったとしても、自分からまずは挨拶をする。それも笑顔で挨拶をすると、あなたの印象がかなり良くなります。特に調和を大切にする女性社員は挨拶やマナー、礼儀などを厳しく見ていますので、誰にでも分け隔てなく笑顔で挨拶をすることを心掛けてみてくださいね。
人の話を傾聴する
「自分のことを知ってもらおう!」早くなじみたくてしてしまいがちなのは、そんな風に思って、自分の話なかりをしてしまうこと。
しかし残念ながら、人は自分の話をすることは好きですが、他人の話にはそれほど興味はありません。あなたも人の話を聞くよりも、話すほうが得意ではありませんか?
普段はそれでもいいのですが、早く新しい職場になじみたいのなら、まずは相手の話をじっくり聞くようにしましょう。
業務の説明にしてもそうです。もし途中であなたが知っている知識が出たとしても、知っていることは伝えずに最後まで聞ききりましょう。
自分の話を聞いてくれる相手に、人は好意を持ちます。逆に自分の話ばかりをする人物には、「自分にしか興味がないやつ。」と判断を下される可能性があるので要注意。
放置されたときは質問をする
転職者には研修制度はない場合がほとんど。つまり現場の人間が教育係として付くか、現場に入って自分で身につけるかのどちらかになります。
大抵は教育係がついてくれますが、教育係にも日々の業務がありますので、時に放置されがちになります。また、転職者がお客様状態になってしまい、現場でも「扱いをどうしていいのかわからない」「仕事がふれない…」と戸惑った結果、放置してしまうというパターンも。
そんな状態になったら、自分から積極的に質問をしてみましょう。また、「何かお手伝いできることはありますか?」と積極的に申し入れることで、現場の職員も仕事を頼みやすくなります。
職場のルールを把握する
転職者がまず行うべきことは、業務を覚えることと、職場のルールを把握することです。
報告は社内チャットなのかメールなのか直接するのか、昼食や休憩の取り方、書類の提出方法、他部署とのかかわり方など、就業規則にも載っていないような、社内の暗黙のルールをなるべく早く掌握していきましょう。
もし分からないときは、細かく確認をしていくと比較的スムーズに職場になじむことができます。
職場のルールにまずは従う
職場のルールが把握できたら、まずはそれに従ってみること。郷に入っては郷に従え…という言葉からもわかるように、いきなり自分流を発揮するのではなく、なじむことを第一に考えます。
前職の経験があると、どうしても前の会社のルールを自然と優先して、新しい職場のルールになじみにくくなりますが、前の会社のルールはいったん忘れましょう。
前の会社のルールのほうが時間効率が良く、優れている点もあったかもしれませんが、今の職場の人間にとっては、その環境でのルールが常識でありなじみが深いのです。
成果を出すためには
転職者は新卒者と違い、成果を重視されることは確かです。ただ、企業としても何も「1ヶ月以内に成果を出せ!」とは考えていませんし、一定の猶予期間はあると思って大丈夫です。
そしてこの一定の猶予期間に行うべきことが、職場になじんで業務や社内ルールを把握していくことなのです。業務を一通り行ったり、全てのルールを把握することで、改めて見えてくる改善点もあります。
なじんだ後にその改善方法を提案していけばいいんですね。逆に躍起になって、目に見える問題点を洗いざらい指摘していっても、改悪になったり、周りの批判を高めるだけになることも。
職場の人間とのコミュニケーションを円滑に取ることも、転職者の職務の一つと考え、まずは自分が快適に仕事ができる環境づくりに徹してみてください。
遠回りのように感じるかもしれませんが、周りの協力を得られるようになれば、結果として大きな成果を残せるのようになります。
はじめは控えめに!
転職した後のITエンジニアが心がけたいのは、とにかく始めは控えめに…ということです。これはなにも、「話さない。」とか「仕事をしない。」ということではありません。
我を出しすぎない…ということです。(ここでご紹介している「我」とは、自分の業務のやり方や考え、技術のことです)
質問や報告は、むしろ職場になじむためのコミュニケーション術として、積極的に行うべきことです。
特にITエンジニア同士になると、それぞれの仕事の進め方、コード作成方法などにこだわりがあるので、ルールやプライドがぶつかりやすくなります。無駄な衝突を防ぐうえでも、「自分の技術・考え・ルール」を出しすぎず、あくまで社内ルールを第一優先に考えましょう。
やる気と情熱はあなたの胸の内にとどめて、チームに入れた頃合いを見計らって、自分の考えを提案という形で発表していきましょう。
もしあなたがご紹介したようなコミュニケーションを日ごろから心掛けいれば、すんなりと提案を受け入れてくれる確率もアップしますよ。頑張ってくださいね。
以上、「ITエンジニアの転職成功は入社後のふるまいで決まるという話」でした。