もしあなたが真剣に転職を考えているなら、自分の志向性を理解しておく必要があります。
なぜなら自分の性質と合致しない職場を選んでも、長く続かずふたたび転職するということになりかねないからです。
たとえば、あなたが安定重視の志向性タイプの方なら、完全実力主義のベンチャー企業に再就職したところで後悔することになるでしょう。
逆にあなたが実力主義の志向性タイプなら、年功給を採用している企業に勤めても、やがて不満が生じるかもしれません。
大切なのは、転職の目的と「自分がどうありたいか」を明確にすることです。
そこでこの記事では、5つのタイプをとりあげて、志向性別転職のアドバイスや活動前の注意点をお伝えしていきたいと思います。
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やっぱり高年収!ハイクラスタイプ
誰でもできる代替可能な仕事では高給与はありえない
今の会社の手取りが安いという理由で、転職を考える人は少なくありません。あるいはあなたもそうかもしれませんね。
会社員でも年収1千万円プレイヤーはたくさんいます。彼らはなぜ高給が取れるかというと、他の人ではなしえない代替不能な仕事をしているからです。
企業視点で考えてみてください。誰でもできる業務や職種をわざわざ社員にさせて、人件費を高騰させるのは自滅行為ですよね。
どうしてもやらせるなら新卒で入ってきた若い社員を活用するはずです。あるいはアウトソーシングを利用したほうがよっぽど安くつくわけですよね。
もしあなたが転職先で高給与を望んでいるにもかかわらず、それが他の人にでもできるような仕事なら、それは無理筋というものです。
あなたは所望する総支給額✕10倍の貢献を会社にできますか?
ひとつの目安として、もしあなたが月収80万を望んでいるなら、毎月その10倍の収益を会社にもたらすことが求められます。自分の会社への貢献度を度外視して、高年収を望むのは虫が良すぎるのではないでしょうか。
もしあなたが前職の経験や手持ちのスキルが、転職先におおいに役立つという自信があるなら、面接であなたの価値を最大化できるようなプレゼンテーションをするべきです。
転職エージェントに登録して具体的なアドバイスを受けることで、あなたの所望する年収で転職ができるでしょう。
大切なのは将来性!安定重視タイプ
「安定した会社に就職したい」という転職理由は相手にされない
企業の採用担当者が残念に思う求職者の転職理由のひとつに、「安定した会社に就職したい」というのがあります。20代の若年者ならまだ許せますが、30代以降の転職理由にしては、いささか現実認識が甘いといえるかもしれません。
考えてみてください。採用先の企業にとって、自社の安定性は、自分たちが死に物狂いで手作りしてきた成果ですよね。そこに何のリスクもなく乗じてくる人に対してどういう印象を持つでしょうか?
大切なのは、入社後に何を差し出せるか、どんな貢献ができるかです。そのあたりを効果的に企業側にプレゼンテーションできるかどうかが採否を分けるわけですね。
自分が率先していて会社の安定性を手作りしていく気概が必要
採用企業側は、すべての安定重視を嫌っているわけではありません。むしろ安定させたいという強い気持ちによってスキルを高め、さらなる業務改善に繋がっていくこともあるからです。
しかし、変化を忌避する態度を正当化するだけの安定重視志向は、企業に何ももたらしません。今、安定していて業績が伸びている企業でも、それがずっと続くという保証はどこにもありませんよね。
会社の安定性をさらに固めていけるような利益貢献ができる人材を企業は求めていることを忘れてはいけません。「自分も会社の安定性を支えたい」という熱意がシビアに問われるということです。
指揮するのが大好き!管理職タイプ
実務能力の高さも求められる
一口に管理職といってもその業種によってその業務内容は幅広いです。社員の教育・育成・指導はもちろん、組織を運営するうえで必須のマネージメント能力も求められます。
今、多くの企業で求められているのが「プレイングマネージャー」。つまり管理者であると同時に、自らプレイヤーとしての範を示す存在にならなければいけないということです。
少し考えてみてください。ろくに実務もできないのに、言うことは一人前の新入り管理職に対して、既存社員の人たちはどのような印象を持つでしょうか。
たとえその企業が応募条件で実務能力が求めていないとしても、一から出直すくらいの覚悟で仕事を覚えていく必要はあるでしょう。
着実に人間関係を構築していく粘り強さが必要
管理職として入社するからには、新しい職場の既存社員との人間関係が何より大切です。既存社員の業務内容を尊重することも大切ですが、さらに業務改善していくための提案を求められるでしょう。
まずは既存社員との信頼関係を構築していくためにも、謙虚の態度でひとりひとりと向き合っていくべきです。
企業によって管理職に求められる役割は違います。そこで転職エージェントを使い倒して、自分のスキルに合致した会社を選ぶようにしましょう。
会議より現場が好き!実務家タイプ
30代以降なら管理能力を求められるのが一般的
「管理職なんかまるで興味ない」
「ずっと現場で実務に携わっていくのが性に合っている」
もしあなたがこのように考えて転職活動をしても、企業側は実務能力+管理能力を求めてくるかもしれません。
とくにあなたが30代以降で、実務経験が10年近くあれば、新しい職場では実務のプロフェッショナルとして評価すると同時に、その経験を活かしたマネージメントを期待するでしょう。
どれだけあなたが実務家として有能でも、人件費を抑えられる20代の若手で実務能力に秀でた者がいれば、あなたの存在価値は揺らいでしまいますよね。「現場だけ」「実務だけ」の狭いスペシャリストは、業種問わず、これからの時代それほど「うま味」はないのです。
転職先の企業では、「ことによるとマネージメントや部下の指導教育も求められるだろう」という腹積もりで活動していきましょう。
どこまでも実務で活躍したいなら企業選択を慎重に
もしあなたがどうしても「実務だけやりたい」という方なら、待遇面はある程度妥協して、実務経験者のみを求める企業を選ぶようにしましょう。
だからといって、採用面接で消極的なアプローチは厳禁です。部下の教育や管理は御免こうむりたいという意向を伝えてしまうと、あまりにも自分本位な人間と受け取られてしまいます。
協調性や柔軟性があることもアピールしながら、自分の実務能力を通して会社に利益貢献していけることを伝えていきましょう。
いずれは一国一城の主!独立タイプ
会社によってアピールの仕方が異なる
業種にもよりますが、今はローリスクで独立開業できます。
もしあなたがいずれは「一国一城の主」になるための経験値を積むという意味で転職を考えているなら、その企業にフランチャイズ制度や社内独立制度があるか調べる必要があります。
独立制度を設けている企業では、独立心旺盛なあなたの入社を歓迎してくれるでしょう。研修プログラムも充実しているので、あなたは給与を支給してもらいながら、独立に必要な経験ができるという意味でこれほど「美味しい転職」はありません。
しかし、あなたが転職を考えているのが一般企業であれば、面接に際して、うかつに独立志向を前面に押し出すのは控えてほうがいいでしょう。
あなたが採用する側に立てばわかるはずです。必要なノウハウや技術だけ学び取って、機が熟したら独立のために会社を去っていく・・・こういう目的で転職してくる人間をどう思いますか?
会社側が独立を推奨しているかどうか見極めるためにも、前もって情報を収集したり、転職エージェントに登録して必要な情報を提供を提供してもらいましょう。
目指すゴールまでのプランを綿密に立てて準備を怠らない
独立にはリスクがつきもの。借金をして起業してみたものの、うまくいかずに挫折する人も少なくありません。
独立に失敗する人の多くは、独立までのプランが甘く、周到な準備をしないままに起業スタートをしているケースがあります。また集客ノウハウの欠如や技術不足、アクシデントに対する対応能力のなさも失敗の要因です。
まずは「なぜ独立するのか」という目的意識を明確にして、具体的なプランを立てていきましょう。
管理人は独立をする前は、徹底的にシュミレーションを描き、あらゆるリスクを考慮して、「これでよし」というところまで徹底的に考え抜きました。そして独立に踏み切ったのです。
本当に大変ですけど、サラリーマンでは味わえない充実や手応えのある喜びがありますから。
まとめ
「ハイクラスタイプ」「安定重視タイプ」「管理職タイプ」「実務家タイプ」「独立タイプ」の5つの志向性別に転職前のアドバイスを書いてきました。
自分の希望を追求していく姿勢は大切ですが、手持ちの能力や経験が転職先企業で活かしきれなかったら、何のために職場を変えたのかわかりませんよね。
培ってきた経験をいかして活躍するためにも、自分の志向性を理解したうえで、企業視点から「自分は欲しがられるような器なのか」という自己省察が必要です。
といっても、労働市場における自分の価値はなかなかわからないもの。だからこそ、転職エージェントを積極的に活用して、適切なアドバイスを受けて、求められる企業に転職すべきです。
転職にあたっては、自分の能力を冷静に評価する態度も必要ですが、自分の限界を低く見積もるのはよくありません。
天才芸術家の言葉を紹介しましょう。
自分を賭けることで力が出てくるんで、能力の限界を考えていたら何も出来ないよ。
―― 岡本太郎
能力の限界を破ることで、仕事の幅を広がって、収入も増える。その手段として転職を考えてみましょう。
以上、「 志向性別転職アドバイス | 5つのタイプ別に見る転職活動前の注意点とは?」でした。